定期購入のサブスクリプションコマースとはどういうもの?
「サブスクリプションコマース」というのは、ユーザーが毎月決まった額を支払うことによって、販売者がセレクトした商品やサービスが提供される定期購入システム型のサービスのことです。
ここでは「サブスクリプションコマース」の特徴やメリット、提供できる付加価値の種類、そして導入事例などを見ていきたいと思います。
「サブスクリプションコマース」その特徴やメリットは?
「サブスクリプション(subscription)」は、元々は「申し込み」や「予約購読」を意味する言葉でした。その名のとおり書籍などを定期購読するように、期間単位で料金を支払い、サービス提供を受ける形式が、そのモデルになったと言われています。
日本でも食品や化粧品などの通信販売などで見られる、毎回同じ商品が定期的に届く「定期購入」や、ある一定のテーマで集められた品物が月替わりで届く「頒布会(はんぷかい)」などがあり、それが現在の「サブスクリプションコマース」のビジネスモデルのルーツであると言えます。
ECサイト等における既存の運営手法との違いは、まず商材の多様性にあります。かつての定期購入型システムは高級品や近所では手に入りにくい物等が商材の主流でした。
しかし現在は、スーパーマーケットなどで購入するような、身近な日常品まで拡大してきています。商品販売におけるこのサービスは、ユーザーにとっては毎回の注文や支払いを行なう手間を省けると共に、買い忘れが防げるなどのメリットがあります。
一方、サービス提供側の事業者にとっては、都度課金型と比較して、継続的に安定した収益を得られる点が大きなメリットと言えるでしょう。更にユーザーとの継続的関係が築ければニーズに応じた商品開発や提供が可能になります。
提供する付加価値にはどんな種類があるのか
「サブスクリプションコマース」は、前述した通りさまざまな商材へと広がっていますが、消費者に提供される付加価値には何種類かありますので見ていきましょう。
まずは「キュレーション型」といって、なかなか他では手に入らない価値のあるものを買いたいという、かつてからある消費者心理に訴えるものです。特にキュレーションにより高い付加価値を感じ、高くてもプレミアムを支払う富裕層を顧客ターゲットにして成功している事例は多くあります。この型は有名人や業界の第一人者がお墨付きを与えるという戦略が用いられる場合も多いです。
次が「コンビニエンス型」です。扱われる商材に向いているものは、日用品など身近な消耗品などになります。ユーザーターゲットには、外出や買い物が面倒で、費用はかかっても代行してくれるなら楽でいいと考えているタイプの消費者です。一例を挙げれば、男性向け商品を扱うショッピングサイトでは、髭そりグッズやTシャツ・靴下などの日常的な商品を定期配送するサービスを行なっています。
そして「トライアル型」といって別名「試供品型」とも言われるものです。購入前に試供品を使ってみたい消費者向けのサービスとなります。例えば女性がコスメを買う場合などが代表的なものになります。多くの商品を試してみたいと感じられる商材には向いていると言えるでしょう。
商品販売に限らずさまざまな導入事例あり
最近では商品販売だけに限らず、さまざまな業界がいろいろな分野でこのサービスを提供していますので、それをいくつかご紹介します。例えば「ファッション業界」におけるサービスで、食料品や日用品などのような消耗品でないにも関わらず、ここ数年成長を見せています。
通常の商品販売と同じ「購入型」のモデルもありますが、この業界の主流は、毎月一定の料金でさまざまな衣服を借りることができ、決められた一定期間で返却する「レンタル型」のサービスです。このレンタル型のサービスはユーザーにとって、センスのいいキュレーターがセレクトした最新ファッションを、手軽に楽しめる点がメリットになっています。
またミニマリストと言われる「モノを多く持たない」スタイルが好まれることもあって、そうしたニーズにぴったり合致した手法と言えるでしょう。
他に「ソフトウェアのライセンス契約」にもこのサービス形式は広がっています。例えばビジネス向けのアプリや、画像加工アプリなどのライセンス契約です。
これまでソフトウェアライセンスは一括で支払う永続型が主なスタイルでしたが、ここ数年は月単位や年単位で支払い、その期間だけライセンスが提供される方式が増えてきています。
これまでも「サブスクリプション型」サービスは、定期購入や頒布会として考え方としては存在していましたが、昨今の「サブスクリプションコマース」は形を変え進化しつつあります。
この記事ではその特徴やメリット、提供する付加価値の種類や、さまざまな分野での導入事例などを見てきました。今後ますます普及するインターネット、消費者のライフスタイルの変化や求める付加価値・ニーズの変化等に伴って、「サブスクリプションコマース」はこれからも成長していくと思われます。